7月から、行商広場の西側で、Yumix特製Tシャツをはじめとする応援グッズをフリー配布中です。
目ざとい方はもう、お気づきかもしれませんが、その後ろには、大きな看板が二つ並んでいます。
右側は、「日本語字幕付き手話動画」パネルで、ビューアの動画設定をONにして再生ボタンを押すと、パネル内に動画が再生されます。
左側は、「電話リレーサービス実験」についてのレポートで、タッチするとページがめくれていきます。
さらに左のブースは、この実験で使われた応接セットです。
スタッフの方とレポート前でお会いして、ブース内の応接セットに座って面談したので、半年前が無性に懐かしくなりました。
実は、この応接セット、ゆみ姉に最初に買ってもらった家具なのですね。
元はと言えば、家具屋のお得意さんだったわけですが、なんとなく居心地がいいので、すっかり懐いてYumix広場の居候になってしまいました。。。
というわけで、
今回は、いつか案内しようと思い撮り溜めていた「電話リレーサービス実験」レポートを一緒に見ていきましょう。
スナップ画像だけと読み辛いかもしれませんし、平文であればキーワード検索等にもヒットしやすいであろうことから、テキストを起しました。
変換ミス等ありましたら、御指摘ください。
『3D仮想世界(バーチャルワールド)を活用した電話リレーサービスの実験について』
2008年5月 かがやきパソコンスクール
■はじめに
・電話リレーサービスとは、耳が聞こえない、あるいは言葉が不自由などの理由で電話コミュニケーションが困難な利用者のために、人間のオペレーターが介在して即時双方向の会話を文字や手話などで中継支援する福祉情報サービスです。
1960年代に米国でTTY(文字通信用端末)が開発され、欧米諸国やオーストラリアなどでは聴覚障害者のための情報福祉政策として普及しています。
■電話リレーサービスの必要性
・日本の聴覚障害者の数は平成17年度の障害者白書では36.1万人です。これは身体障害者手帳を持っている人の数ですが、電話での会話に不自由をしている難聴者の数はおよそ800万人以上いるといわれています。
・特に高齢化社会といわれる現在では、補聴器を必要とされる70歳台以上のお年寄りも増え、ますます電話によるコミュニケーションが困難な人口が増えるものと考えられています。
・こうした環境の中で、国内でも数社の電話リレーサービスが開始されていますが、まだまだ一般への認知が低く、普及しているとは言い難い状況です。
■3D仮想世界での取り組みの位置づけ
・本取り組みは、セカンドライフという仮想世界においても電話リレーサービスの提供を行うことにより、利用可能なサービスのチャネルを拡大を図り、一般への認知を高め、言語や聴覚に障害のある方々に対し豊かなコミュニケーションを行うためのプラットフォームを提供していくための実験サービスです。
■電話リレーサービスの実験に当たっての3つの条件
・3D仮想世界の特性を活かした擬似対面によるキメ細かいサービスが提供できること。
・将来的に在宅ワークの活用ができ、就労を促進する仕組みであること。
・低コストでの運用が可能であること。
■電話リレーサービスの実験体制
▼サービス提供主体
・かがやきパソコンスクール
・オペレーターの提供・実施要領の作成運用
▼被験者
・3D仮想世界の住人であり、実際の聾唖(ろうあ)者であるYumix Writer氏。
■電話リレーサービス実験の概要
▼場所の確保
・セカンドライフ内の日本人居住区である「じゃぱんらんど茨城」に土地を借り、電話リレーサービス用のブースを設置。
▼オペレータの確保
・かがやきパソコンスクールのインストラクターを提供
▼実施要領の制作
・運用方法、守秘義務等
■被験者の属性
▼3D社会の住人ではあるが、実在する聾唖(ろうあ)者。
・実際の世界では、音は聞こえず話すこともできない。
▼20代前半の女性。
▼パソコン自体は初心者ではあるものの、タイピング操作はスムーズに行える。
■電話リレーサービス実験結果
▼電話リレーサービス運用回数 計18回
・出前の注文 9回
・美容院の予約 3回
・宅配便の集荷依頼 2回
・タクシーの配車 2回
・店舗の営業時間問い合わせ 1回
・商品在庫の確認 1回
→普段の生活に密着した内容となった
■実験結果からの考察
▼健常者が普段意識せず電話で済ませている用事も、聴覚や言語に障害を持つ人にとっては、生活する上での高いハードルになっている。
・利用内容が、全て生活に密着したものである。(相談などの込み入った話は、手話通訳を介して直接話すことが習慣となっている。)
▼1回の電話リレーサービス利用のほとんどが2分以内で終わる用事であったことから、ほぼ1件の用件を3分以内と設定し、回数に応じた月額の定額制の福祉ビジネスへの応用も可能と考えられる。
■今後の課題
▼ユーザ環境の改善
・サービスのユーザとなりえる聴覚および言語の障害者の生活自体が自立できていないものも多く、3D仮想世界を利用できる高スペックのパソコンや高速回線の普及をしていくとともに、利用に必要なリテラシの向上を平行して行っていくことが必要。
▼高齢者や他の障害への対応
・キーボードやマウスなどの入力装置が使えない場合の代替入力装置への対応が利用者の裾野を広げていくことにつながる。
▼人材確保と育成
・常時対応でき、個人情報やプライバシーに関する守秘義務を遵守してオペレーションの出来る人材の確保と育成が必要。
▼在宅ワークによるワークシェアリング
・3D仮想社会の中で待機している在宅ワーカーに、仕事を自動で振り分ける等の仕組みを構築し、働きやすい環境を整備することが必要。
(文責:
Ashy Mathy)